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蛍光増白剤とは

 蛍光増白剤は繊維製品や紙あるいは合成樹脂などに対する染着機構から見ると、一般の有色染料のそれと何ら変わりなく、染料の一種と考えることが出来ます。しかし蛍光増白剤とは、太陽光線の中の目に見えない短波長側の紫外線を選択的に吸収し、これを目に見える紫~青色の光(可視光の安全な光)に変え、照射させる能力を持ったものであります。したがって、蛍光増白剤を含有させた繊維製品や紙あるいは合成樹脂は、日光の下で蛍光を発し、目で見たときの白さが輝くばかりに白く見えるわけです。この様なことから、“蛍光染料”というよりむしろ“蛍光増白剤”あるいは“光学的明色化剤”と呼ぶのが最も適当といえます。
 蛍光増白剤は化学漂白剤と異なり、その材質を痛めることなくその白さを増すのに最もよいものであり、種々の用途があります。
 天然繊維(木綿・麻・羊毛・絹等)や合成繊維(ナイロン・ポリエステル・アクリル等)は織物や糸を蛍光増白剤で後染めするのが普通ですが、合成繊維の場合は紡糸前の合成樹脂原液に直接蛍光増白剤を添加することもあります。紙では抄紙工程でのパルプに直接加えて増白する方法と、紙の表面に塗工する材料に加える方法とがあります。
 洗剤には洗濯物を美しく仕上げるために添加されることがあります。その他各種の合成樹脂製品などにも直接添加される等、広い用途が開発されてきております。それと共に、今日ではさらに、それぞれの用途に応じた機能性染料・材料・その他を構成する分野の一つとしても変貌を遂げようとしております。
 一般に人間の目で見える光の波長は、440nm~780nm近辺の範囲の可視光です。空にかかる虹の色に相当します。
 ちなみに太陽光の光の波長は、紫外から赤外の範囲(約150nm~約1500nm)にまで及び、可視光を含む波長の範囲となります。すなわち人の目に見える光とは、ほんの一部の光であることがわかります。 光は植物の光合成、太陽光発電、写真等、レーザー、照明その他地球上のあらゆるものに利用されており文化にも貢献している所です。
 こうしてみますと、太陽の恵みが如何に大きなものかを改めて認識でき、感謝するところでもあります。ところで、波長を振動数に置き換えますと、約3PHZ~約300THZ、エネルギー的には、約12eV~約1.2eVであります。これはかなり大きなエネルギーと言えます。この光、すなわち電磁場中における物質の色に関する現象は、分子サイズで見た場合、主に最外殻電子の遷移に由来しております。基底状態にあるエネルギーが、外部から与えられた光(この場合は、主に太陽光の吸収)により励起され高いエネルギーを持つ励起状態に移行しますが、しばらくして暫時このエネルギーは、再度外部に放出され、もとの分子に戻ろうとするわけです。この時放出されるエネルギーの形態として、主に熱発生、蛍光発光、燐光発光、および無放射失活、エネルギー移動等があります。すなわちこれらの放出エネルギーのうち、蛍光発光を利用した染料または顔料等を特に選択して蛍光剤と言っております。
 物質に照射された光は一旦、分子により吸収された後、光の変化が起き新たな分子固有の光として放射されるわけです、目に見える光としては上記の虹の色が相当します。すなわち、この発光色が、紫~青のものを特に選び出し蛍光増白剤として使用しております。
 このように、分子単位での発光を検出できるほどの鋭敏な性質を持つ物であるため極めて発見され易く、蛍光プローブ、分析の指示薬、セキュリティー関連、アイキャッチャー、微生物のラベル化、医薬品検査薬等にも使用されております。以上述べさせていただきましたように、非常に微量でも検出されるものでもありますので、安全性には特に注意を払っており、充分なリスク管理のもと、選択され商品化されております。